原作:ハンバーガー×キャラクターデザイン:潮月一也のスペシャルインタビュー

  • まずはハンバーガー先生に、アニメのキャラクターデザインをご覧になった感想をお聞きしたいです。

    原作の絵に寄せてくださっていて、それが調整されていくたびにどんどん僕の理想の絵になっていくのがとても嬉しかったです。

    潮月一也(以下、潮月) いやいや(笑)。そんなことは。原作の絵は本当に魅力的ですから。

  • アニメのキャラクターデザインとして描かれた絵を見たり、監修したりする中で、「自分の絵にはこんな特徴があったのか」と発見される原作者の方もいらっしゃるそうですが、先生はその点はいかがでした?

    たしかに、潮月さんがキャラデザの案を出してくれたとき、僕はとてもいいと思っていても、他のスタッフさんが「いいんだけど、原作とは何か違うよね」みたいなことをおっしゃることがあって。自分もそれで、「じゃあ、何が違うんだろう?」と考えていくことで、「ああ、このキャラってこう描くと、こう見えるんだ」みたいなことに気づくことはありましたね。さとこのマフラーのシルエットとか、このはの前髪の目へのかかり方とか、これくらいのバランスだと“っぽく”なるみたいなのが、わかったというか。そこらへんって、アニメのキャラクターデザインを見る前は、自分でも意識せずに描いてたと思います。そういうところを客観視できたのはありましたね。感覚で描いていたことが、意識できたというか。

  • 潮月さんは原作の絵のどんなところに魅力を感じました?

    第一印象は「可愛くて、好みの絵柄だな」でしたね。そこから、単純に「描いてみたいな」という気持ちと、「描けるのかな?」という一抹の不安みたいなものが湧いてきました(笑)。

    あはは。

    でも、実際描いてみると、すごく楽しく描ける絵柄だったんです。ただ見た目だけではなく、そういう見えない部分でも魅力的な絵ですよね。ちなみに原作って、1コマ1コマ、キャラクターがそのコマでデザインされ直されている印象がありまして。それがすごい魅力的で。ちょっとカメラが引いた構図になると、顔の中の目のバランスがちょっとだけ大きくなって、可愛い絵柄になるとか。頭身自体も、コマのサイズに合わせてリデザインされている感じで、そこが印象的だなと思っていました。

  • 今作はかなりバリエーションの豊かな表情集がありますが、それは今おっしゃったような魅力をアニメのキャラクターデザインに落とし込もうと考えられたからなんですか?

    そうですね。なるべく原作のコマの表情を生かしたいと考えて、ああいう形でキャラ表にいろいろな表情を入れて、そうすることで、参加してくれるアニメーターのみんなと、表現を統一していきたいなと。

    ……ちなみに、そう言っていただけるのはうれしいんですけど、コマごとに頭身だとか目の大きさが違うのは、単純に僕の技術不足です!(笑)僕のマンガって、1コマごとに収まりがいいものを描きがちなんですよ。「こういう方がかわいいな」で描いていることが多い感じというか。だから理屈としては破綻している部分が結構あったりするので、アニメにするときって多分大変だろうなと思っていました。顕著なのがさとこの髪飾りなんですけど。

    ああ〜。わかります。

    「この角度だと本当は多分見えないだろうけど、描いちゃおう!」みたいなことをよくやってるんです。それをアニメに落とし込もうとすると、破綻が生まれて大変だろうな、苦労をかけているだろうな……と。潮月さんには、プラスにとっていただけていますが。

    でも本当にそれで、どのコマを見ても魅力的なキャラ描写になっていますから。アニメで動かすときも、同じようなことをやれたらなと思っています。それでいうと、このはの髪のインナーカラーも、デザインするときにはどうしようか考えたところですね。

    どこからインナーカラーに切り替わるかですか?

    そうです。

    たしかにあそこも、自分はコマごとに「ここでインナーカラーが見えてたらいいな」という気持ちで描いちゃいますからね……。

  • アニメだと通常色、影、インナーカラー、ハイライトと細かく塗り分けが必要なので、作業量が多くなりますね。

    そうですね。インナーカラーの量で印象がすごく変わってしまうので、アニメでもその都度でちょっと考えてやっていくことなるかなとは思っています。

  • キャラクターに共通した特徴として、鼻の形はマンガとアニメで変えていますよね。
    キャラ表に注意事項としても書かれていますが、立体的な鼻にされている。

    まず、アニメはマンガと違って動く表現だというのが前提としてあるんですけど、その上で、正面からの絵で「1ドット」みたいな感じの点で鼻を描くと、画面上にミスで残ったゴミみたいに見えてしまうんです。だからアニメでは、はっきり鼻とわかるように、線をちゃんと引くように、という意味合いで、注意事項にしています。

    へえ〜! そういうものなんですね! でも本当に、潮月さんから送られてくるキャラデザを見ると、「ここを楽しんで描いてるんだな」みたいに感じるときがあって。ロボ子の顔の表情とか。

    ああ、そうなんです! 伝わってたんですね。うれしいです。

    あと、キャラクターデザインのはずなのに、いきなり百合子の一枚絵みたいなエッチな絵が上がってきたりとか!。

    あははははは! すみません!

    「いや〜、描きたくなる気持ち、わかるなあ!」と思っていましたよ。そういうのが感じられると、こっちとしてもうれしいです。

    でもそれも、原作からいただいたイメージなんですよね。先生が楽しんで描いてらっしゃるのが伝わってくるから、こちらもやっぱり、楽しんで描かなきゃな! みたいな。原作から受け取った楽しさを、キャラ表の段階でも入れたいなと思いながら、作業していました。

    ばっちり伝わってました!

  • では最後に、おふたりの考えるアニメの「忍者と殺し屋のふたりぐらし」の見どころを。

    やっぱりオリジナル展開ですかね。マンガを描いているときによく思うのは、びっくりしてほしい、驚いてほしいなんです。アニメでもそこを意識してもらっています。原作を読んでいる人でも新鮮に見える展開があるといいなという、こちらのお願いに現場が応えてくださっている。デザイン面でもそうです。オリジナル展開って賛否両論あるのかもしれないけど、自分はやってほしい。そして、ついでに原作の足りない部分も、これを機に補いたい(笑)。そんなふうに考えながら、アニメの打ち合わせに、自分も参加してます。だから僕としては、アニメのオリジナル要素に期待してください、という感じですね。

    先生に原案を描いていただいた、オリジナルのキャラクターも出てきますしね。僕の方は……原作だと見る人の想像力に任せている動きの部分を、実際に動かして、俳優さんが声を当てて表現する。そのところで、原作の良さをもっと表現できたらな、そういうことができるんじゃないかな、と思いながら作業しております。すごく可愛く動いて、すごく暴れてもらう意識で動かそうとしてますので、きっとそのあたりを、楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

    あと、アクションシーンもとてもよかったですね。アニメならではのおもしろさがやっぱりあるなと感じています。楽しみにしていただけたら!

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